下肢静脈瘤
大腿から膝、下腿の皮下静脈が膨れてしまう血管の病気です。下肢の静脈には2系統あります。筋肉の中を通る深い静脈と、皮下を通る浅い静脈です。皮下を通る太い静脈が2本あり、大腿の付け根から出る大伏在静脈と膝裏から出る小伏在静脈です。女性では妊娠でお腹が大きくなって、骨盤の静脈を圧迫することで、静脈弁が故障してしまうことによりますが、男性では原因不明です。
最近、血管内レーザーが保険承認されたため、血管内レーザーが標準治療のような風潮がありますが、静脈結紮術と静脈瘤切除を組み合わせれば、十分満足できる結果が得られます。
病因
心臓から出た血液は動脈を通り、末梢の毛細血管で酸素や栄養素の交換が行われ、静脈に流れ込みます。それからまた、静脈から心臓に戻ります。下肢の太い静脈には2系統あります。
- 皮下脂肪内を通る伏在静脈系
- 筋肉の中や間を通る深部静脈系
静脈の途中には静脈弁という逆流を防ぐしくみがありますが、この静脈弁が何らかの原因で壊れてしまうと、静脈血の流れが心臓の方ではなく、足先の方に逆流してしまいます。これが、下肢静脈瘤と呼ばれる静脈の”コブ”です。
皮膚の静脈が流れなくなるので、うっ血している状態です。ひどくなると、皮膚の酸素が足りなくなり、かゆくなったり、皮膚が茶色になります。さらに、ひどくなると、皮膚がただれて、潰瘍になります。
深い静脈では筋肉のポンプ作用によって心臓に送られますので、静脈瘤になることは通常ありません。問題になるのは、深い静脈が血栓で詰まってしまう深部静脈血栓症です。エコー検査で深部静脈に血栓がないかどうかを調べることができます。問題なければ、通常の静脈瘤の処置を行うことができます。
女性では妊娠することで、股の付け根で静脈が圧迫されることで、末梢静脈圧が上がり、弁が壊れてしまうことが原因と考えられます。妊娠2回されている方に多く発生している印象があります。
男性の場合は原因はよくわかっていません。