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船橋,コアラ,ユーカリ
2009年5月開院。2016年4月に医療法人社団 茉悠乃会を設立しました。
皮膚科、形成外科、美容皮膚科、がんの統合医療で、地域医療に貢献しています。
飲食店やエステとコラボして、食べ物で美と健康を目指しています。
毎月発行まいふなのFunacoでは、Drこあらーがわかりやすい医療情報を提供しています。
最新情報は新しいホームページを御覧ください。問診票ダウンロード、質問コーナーも移動。

低温やけど、低温熱傷

 毎年、冬場になると、湯たんぽが流行して、足首の周りに深いやけどを負って、来院される方が続いています。話を聞くと、低温やけどをされる方は、たいがい熱湯を入れています。絶対に80度~100度の沸かしたての熱湯は入れないでください。40度から60度のちょっと熱い程度のお湯にしてください。

お子さんのやけど

 テーブルにおいた熱いコーヒーやインスタント麺を、お子さんが手で引っ掛けて、あごから首、胸に熱湯をかぶってしまうことがあります。また、少なくなりましたが、炊飯ジャーやポットを床に置いていると、蒸気口に手をついて立ち上がって、手にやけどを負うことがありますので、くれぐれもご注意ください。

3度の低温やけど治療例

湯たんぽによる下腿内側の3度熱傷。
ALegBurnDueToHotWaterPad01-01.jpg_BLegBurnDueToHotWaterPad01-02d6.jpg_CLegBurnDueToHotWaterPad01-03d16.jpg_DLegBurnDueToHotWaterPad01-04d20.jpg_Efiblast250.jpg
A)来院時にはすでに赤黒く乾いた状態でIII度熱傷でした。B)1週間で黄色の皮膚壊死が明らかになったため、C)2週間後に局所麻酔下に壊死組織を薄く除去(デブリードマン)しました。D)デブーリドマン直後。E)肉芽形成を促進するために、フィブラストスプレー+プロペト(精製ワセリン)を処方しました。ご自宅で自己処置をしていただきました。
FLegBurnDueToHotWaterPad01-05d35.jpg_GLegBurnDueToHotWaterPad01-06d47.jpg_Hactosin200g.jpg_ILegBurnDueToHotWaterPad01-07d55.jpg_JLegBurnDueToHotWaterPad01-08d62.jpg
F)来院後1カ月半経過し、黄色のフィブリンで覆われていたため、G)同日フィブリンを除去すると、下から真っ赤な肉芽(毛細血管の塊)が再生していることがわかりました。H)処方する外用薬をアクトシン軟膏に変更し、引き続きご自宅で外用療法を継続しました。I)J)来院後2ヶ月で周囲から5㎜幅の上皮が再生してきました。
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K)来院後2ヶ月半で約1㎝幅の上皮化が再生、L)3か月で1.5㎝幅の上皮が再生。残り1㎝の皮膚欠損は残しているが、N)初診後4か月で上皮化が完了しました。現在外来でフォローアップしておりますが、硬く盛り上がった肥厚性瘢痕にはなっておりません。

★ご注意★お年寄りや糖尿病など持病がある方は、創傷治癒が遅くなり、治らない場合があります。治療結果には個人差があることをご了解ください。

やけどの深さ(熱傷深度)

 やけどの深さは、大きく4つに分けられます。
 1度、浅い2度、深い2度、3度やけどです。

 一番浅いのが1度で赤くなるだけで、一晩過ぎれば、正常な皮ふの色に戻ります。

 次に2度ですが、表皮基底層から真皮浅層にいたるやけどです。
 2度は2つに分けられ、水泡が破れていない状態で非常に痛いやけどが浅い2度で、針で少し刺すと痛みがあります(ピン プリック テスト陽性)。
 一方、水泡が破れて、その下に赤くて白っぽくなった真皮が見えている状態が深い2度で、針で刺しても痛くありません(ピン プリック テスト陰性)。 

 最後に3度やけどですが、皮ふ全層に高熱が及んだ状態で、黒くなったり、真っ白になった状態です。

注意すべきことは

1.やけどの深さは、すべて同じではないこと。浅い部分もあれば、深い部分もあります。
2.細菌感染が合併すると、浅いやけどでも、深くなってしまいます。小範囲でも高熱が出たり、ショック状態になることが稀にあります。
3.素人判断で、ラップ療法は行わないでください。細菌感染を助長します。
  必ず、医師の指導下でお願いします。

やけど治療

 1度のやけどは、30分間冷やす程度で大丈夫です。

 水泡ができる浅い2度のやけどは、お近くの皮ふ科、形成外科、もしくは外科系の病院を受診ください。水泡は破らず、内容液を抜いて、創傷被覆材でカバーします。だいたい2週間以内に治ります。

 深い2度のやけどになると、水泡が破れた状態になることが多く、治るまでに2週間から1カ月以上かかります。昔は手術を行うことが多かったのですが、最近は特殊な外用剤(フィブラストという塩基性線維芽細胞成長因子製剤アクトシン軟膏で使うことで、深い2度のやけどでも、2、3週間前後で治ることが可能になりつつありますので、早期の適切な処置が大切です。

 3度のやけどは、焼けた皮膚を取り除き(デブリードマンと言います)、新しい皮膚に置き換える手術が必要になります。小範囲であれば、時間がかかりますが、上記の外用剤で治療できます。それでも、広範囲だと皮膚移植手術が必要になってしまうことがあります。

 両手のひら分以上の広範囲の2度のやけどや3度の重症やけどは、熱傷専門医が常勤の大学病院や総合病院(☆このリンクからお調べください☆を受診してください。日本熱傷学会は、熱傷を専門とする医師の学会です。主に救命救急や形成外科、皮膚科の医師、および、看護師が集まっています。
 院長は勤務医時代には熱傷学会認定医でしたので、熱傷の経過、治療、アフタケアには精通しております。

アフタケア

 アフタケアには時間がかかります。皮膚が治るまでの時間がかかると、傷あとが残ります。できるだけ早く治す必要があります。
 傷あとが残った場合は、アフタケアが必要になります。 

  • 盛り上がっている場合 
    • 肥厚性瘢痕と呼びます。ステロイド徐放テープ(ドレニゾン)やステロイド注射(ケナコルト)による追加治療が必要です。
  • 赤みが残っている場合 
    • 表皮が薄く、真皮が不完全なので、毛細血管が透けて赤く見えている状態です。皮膚を表皮を厚くするアクトシン軟膏を塗布し、光治療で毛細血管を焼くと、徐々に改善するようです。(保険適応外使用なので、自由診療です)